プロジェクト
22ビショップスゲートはロンドン金融街に林立する高層ビル群の中央に位置し、62階建て、高さ278メートルのガラス張りで、ロンドン初の超高層ビルとしてPLP Architectureが設計を担当しています。オフィススペースのほか、小売店舗やレストラン、医療・教育施設が入居し、公開天文台も設置される予定です。15億英ポンドを投じたこのプロジェクトでは、その超高層ビルを建設するにあたり、未完成に終わったPinnacleビル用に建設されていた基礎と地下部分を使用しなければなりませんでした。WSP Parsons Brinckerhoff(WSP社)は、多分野にわたるエンジニアリングサービスと構造設計サービスを提供し、BIM手法を用いて既存の構造要素を22ビショップスゲートの上部構造で使用できるようにするために、このプロジェクトに加わりました。
ソリューション
WSPはRAM Structural Systemを使って大部分の鉄筋設計を行い、さまざまな設計手法を策定・解析したうえで、現場や構造上の制約にあわせて設計を最適化しました。地下のべた基礎や床板の設計にRAM Conceptを使用した結果、WSPは既存の地下構造物の大部分を維持することに成功しました。Revitやサードパーティ製ビーム設計ソフトウェアとBentleyソフトウェアとの相互運用性により、正確な3Dの視覚化、図面作成、資材の見積もりの統合モデルを作成し、厳しい納期にあわせて協業体制を最適化することができました。
成果
WSPはRAMを用いて設計時間を40%、設計製作期間を10か月短縮しました。BentleyのIntegrated Structural Modelerを介してRAMをRevitとリンクさせることでインフォメーションモビリティを最適化した結果、建設図面の生成に使えるインテリジェントな3Dモデルを作成できました。建築設計までの概略図の作成にBentleyソフトウェアを活用したことで、厳しい納期の範囲で最も経済的かつ効率的に設計し、欧州規制へのコンプライアンスも徹底できました。最終的に、以前のPinnacleの設計より15%軽量でありながら、床面積が30%も広い効率的な形状の鉄筋架構を完成させることができました。
ソフトウェア
WSPは、既存の構造要素と新しい構造要素の相互作用の解析、および基礎と地下の設計に必要とされる複雑な形状のモデリングにRAMを活用しました。RAMをRevitと統合することで、既存の基礎すべてと地下の半分を活用することができました。横向きの安定性と荷重解析の計算を行い、傾斜支柱とトラスを用いて上部構造の荷重伝達を最適化するというソリューションを確定するうえで、RAMの相互運用性が極めて重要でした。Bentleyのアプリケーションを使って火災の影響をシミュレーションし、防火対策を要する鉄筋梁や必要な防火期間を決定しました。