プロジェクト
中国の成都市は、近年の経済復興によって、このところ急激に人口が増えています。その結果、水の需要が1日40万トンにまで拡大し、現地の給水能力では対応できなくなりました。政府は、この需要を満たすには大規模な給水プラントの建設が必須であると判断しました。そこで、MCC Capital Engineering & Research Incorporation Limitedに、金強寿安上下水道プラントのエンジニアリング、調達、建設契約を発注しました。この3億5,000万人民元の水道プラントは23の施設を含み、12の専門分野のエンジニアが共同で作業する必要がありました。成都市政府からは、近隣の臥龍国定自然保護区と成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地に配慮し、水道プラントの環境への影響を最小限に抑えるよう要請されていました。
ソリューション
MCCはBentleyのビルディング情報モデリング(BIM)アプリケーションを使用した共同作業型の3Dデジタル設計戦略を採用し、複雑な配管システムと貯水池構造を設計する多分野型ソリューションを開発しました。BentleyのProjectWiseを基盤とする連携したデータ環境によって、すべてのチームのメンバーが連携し、設計の各専門分野間で情報をスムーズに受け渡すことができました。MCCは、プラントおよびビル設計ソフトウェアであるOpenBuildings(以前のAECOsim Building Designer)とOpenPlantアプリケーションを使用して、給水施設のプラントレイアウトを作成しました。また、Bentleyの共同作業型の3Dモデル機能により、複雑な配管システムと貯水池構造を設計しました。設計が完成すると、Navigatorを使用してクラッシュ検出を実施し、建設プロセスを手戻りなしでスムーズに進行できるようにしました。また、BIM技術とコーディング技法を組み合わせてコンポーネントライブラリを作成し、プラントのライフサイクルのすべての段階で利用しました。
成果
OpenPlantやOpenBuildings DesignerなどのBentleyの設計アプリケーションによって、設計効率が約20%高まり、設計期間を1か月短縮できました。設計が完成すると、Navigatorを使用してモデルのチェックとクラッシュ検出を行い、LumenRTを使用して運用シミュレーションを行いました。Navigatorによって、200件のエラー、抜けや漏れ、不整合が見つかりました。事前にNavigatorを使用することで、まったく不整合なしで建設を進めることができました。そのため、設計と現場での手戻りが不要になり、建設期間が約7%、プロジェクト費用が2%削減されました。建設中は、同様のプロジェクトと比較して、まったく設計の問題がありませんでした。その結果、工期を40日間短縮できました。さらに、Bentleyソフトウェアによって資材も8%削減できました。金強寿安上下水道プラントは、成都市温江区の使用水量の問題を解決しました。成都市のさらなる発展を支え、生活の質を向上し、同地区の給水量不足を解消しています。
ソフトウェア
非常に複雑な構造のために図面はわかりにくいものになりましたが、3Dモデルを作成することで、多分野型設計チームはプラントのあらゆる側面を把握できました。設計プロセスでは、OpenBuildings Designerを建築に使用し、OpenPlant Modelerを配管に使用しました。また、鉄筋構造にはProStructures、系統図にはAutoPIPE、ケーブル敷設にはBentley Raceway and Cable Management、電力にはBentley Substation、設備にはMicroStation、地形にはPower GEOPAK、道路にはOpenRoads Designerを利用して設計を行いました。これらのソフトウェアをProjectWiseベースの連携されたデータ環境に統合することで、3Dモデルが標準化され、整合性が保たれるようにしています。Navigatorの視覚化機能を使用して設計レビューを行いました。また、Bentleyのプロジェクトおよび資産管理アプリケーションを使用して、設定・建設のワークフロープロセスを合理化しました。これらのアプリケーションは、運用・保守段階に移行した後も引き続き参照しています。
プロジェクトプレイブック: OpenBuildings Designer、
AutoPIPE、
Bentley Raceway and Cable Management、
Navigator、
OpenPlant、
ProjectWise